iemiru コラム vol.122
天然素材の家で後悔なし!コスパも良くお手入れ簡単?
見直されている天然素材の家
天然素材の木の香りが漂う家!憧れますよね。今、天然素材で作られた家が大きく見直されています。
少し前までの日本は、この国の気候や風土に適した天然素材で作られた家を、親子三世代でメンテナンスしながら長く大切に使ってきました。ところが戦後、ビニール・プラスチックなど化学物質の含まれた新しい素材を取り入れて、早く簡単に建てられる家が主流となり、天然素材で作られた家はあまり見かけなくなりました。
現代では、日本の家の寿命は先進国の中でも特に短く、平均30年と言われており、改めて天然素材の家が注目を集めているのです。そこで、今回は天然素材で作られた家の良さについて、余すところなくご紹介していきたいと思います!
日本の気候や風土に適している
日本は高温多湿の国。モルタルの壁に欧米の建築様式だと、家の通気性に問題が残ってしまう場合があります。通気性が悪い家の場合は、湿気によるカビのトラブルが絶えず、住み心地の悪い家になってしまうこともありますね。
先ほどご紹介したように、日本の家の寿命が30年ととても短い理由は、建築様式と日本の気候や風土が合っていないという点にあるのかもしれません。一方、天然素材で作られた家の最大の特徴は「木が呼吸する」ということです。夏はからりとして、冬は乾燥せずに暖かいので、とても快適に過ごすことができます。
これは、天然素材の最大の特徴で、無垢材や天然素材の壁自体が勝手に湿度を調整してくれるのです。カビも生えにくく、家が傷まないので、世代を超えて長く住み続けることができます。
どんどん強くなる
木を貼り合わせた、合成の木材で作られた家は、新築の時が一番綺麗で、その後は年を重ねるごとにどんどん劣化していきます。しかし、天然素材で作られた家は、逆に年を重ねるごとにどんどん強くなっていくという特徴があります。
例えば、ヒノキは伐採した後、200年かけて強度がどんどん増していき、その後は1,000年かけて伐採した時の強度に戻っていく、ということがわかっています。
漆喰の壁も同じように年月をかけて強度を増し、100年かけて原材料である石灰石の強度に戻るのだそうです。
また陽に当たった時にどんどん焼けて脆くなっていくのではなく、深い色つやとなり味が出てくるのも魅力のひとつですね。古い伝統的な神社仏閣を見てみると、何百年も地震や雨風を乗り越えながら立派に残っていることからも分かるでしょう。
天然素材の家ってどんな家?
天然素材で作られた家、と一言でいっても、多様化しているので、はっきりとした定義がわかりづらいですよね。そもそも天然素材で作られた家とはどんな家のことを指すのか、確認していきましょう。
化学物質を含まない素材で建てた家
天然素材で作られた家とは、化学物質を含んだ素材を使わずに、天然の素材を使って建てられた家のことをいいます。化学物質を含んだ素材には次のような種類が挙げられます。
● 塩化ビニールシート
● 合板フローリング
● ビニールクロス
それに比べて、天然素材で作られた家に使われるのは、化学物質を含まない素材。代表的な素材には次のような種類があります。
● 漆喰(しっくい)
● 珪藻土(けいそうど)
● 無垢材(むくざい)
接着剤や材料に化学物質を使った家は、住んでいる間に空気中に化学物質が放出されていくため、化学物質によってアレルギーを引き起こしたり、シックハウス症候群の原因となったりする恐れがあります。
その点、天然素材を使った場合には、一切化学物質は空気中に放たれず、逆に通気性に優れているので、常に綺麗な空気を取り入れてくれます。
一生のうちで長い時間を過ごす家の中だからこそ、綺麗な空気に満ちた空間にしたいですよね。
人によって理解が違う
ただし天然素材で作られた家と言っても、人によって色々な理解があるのが現実です。
● とことんこだわって天然素材のみで家を建てたい
● 表面だけ無垢材を使用し、多少は化学物質を含んでも良い
● 木材を多めに使ったナチュラルなデザイン重視の家を建てたい
工務店とのイメージの違いが出てしまうことや、思った通りの家ではないと後悔するリスクを減らすためにも、天然素材にどこまでこだわるのか、どんな目的なのかを明確することが大切でしょう。
天然素材の家のメリット
優しい風合いが魅力の天然素材の家ですが、他にも健康面や環境面、耐久性などにおいて多くのメリットがあります。天然素材(自然素材)が多くの人から注目される理由をチェックしてみましょう!
家族の健康を守れる
化学物質を含む材料は、アレルギーやシックハウス症候群などの原因になると言われていますが、天然素材だと空気中に化学物質が放出されないため、子供からご年配の方、アレルギー体質の方でも安心して暮らすことができます。
また、天然の木を使った家は「呼吸」をしています。これは湿度を一定に保ち、家の中の空気を常に綺麗で適度な湿気を含んだ状態にできるということです。カビが生えて空気が汚染されたり、ダニなどの害虫が多く発生したりしないため、快適で健康に暮らせる家になるのです。
夏涼しく冬は暖かい
「呼吸」をする天然素材で作られた家は、吸湿性と放湿性にとても優れているのが特徴。湿度が高い時は吸湿、湿度が低い時には放湿して自然に湿度を調整できるということは、こんなに多くのメリットを生み出します。
● ジメジメしたり乾燥したりしない
● 結露ができにくい
● カビやダニが発生しにくい
● 脱臭効果が高い
● 夏はカラっと涼しい
● 冬は乾燥せず暖かい
このように家自体がまさに「大きな天然のエアコン」の働きをしてくれるのです。また、湿度に関するメリット以外にも、紫外線を吸収する力や、適度な吸音性も兼ね備えています。
光熱費を抑えられる
上記でも触れましたが、天然のエアコンとも言える天然素材の家は、1年を通して快適な湿度と温度で過ごすことができます。土地の気候や天然素材の種類にもよりますが、冷暖房があまり必要にならないケースが多く、光熱費の節約に繋がります。
逆に通気性のない家の場合、夏でも除湿機能を使わないと快適に過ごせず、冬も常にエアコンを付けっ放しということにもなりかねません。長い目で見たとき、光熱費削減という意味でも家の通気性はとても重要なポイントになってくるでしょう。
耐火性が高い
意外かもしれませんが、天然素材で作られた家は火事にも強く、その耐火性は鉄骨の家よりも優れていると言われています。
なぜなら太い木材は火事で表面が燃えた時、表面部分が炭になり空気を遮断します。炭は熱伝導率が木材の1/3~1/2まで落ちるため、万が一火事になっても芯まで燃え尽きず、崩壊まで時間がかかるのです。
肌触りがとても良い
天然素材の中でも無垢材を使った家は、とにかく肌触りが気持ち良いのも魅力の1つ! 夏場でもフローリングはさらっとしていて、冬場でもひんやり冷たくなることがありません。季節を問わず1年を通して快適な肌触りを楽しめます。見学会などで家に入ることがあれば、ぜひ裸足で歩いてみてくださいね。
美しい風合いになる
無垢材を使った場合、年を重ねるごとに深い飴色になり艶がでてきて、味のある風合いに変化します。目に優しく自然の美しさを存分に味わえる、まさに生きた家と言っても過言ではないでしょう! 住む人の人生とともに年を重ねられる家だからこそ、根強い人気を誇っているのかもしれません。
天然素材の家のデメリット
多くのメリットがある一方、デメリットももちろんあります。思ってもみなかったお手入れの必要性やトラブルが発生しないように事前に確認しておきましょう。
乾燥の過程で反りや曲がりが生じる
無垢材の場合、乾燥の過程で反りや曲がり、多少の割れなどが生じる場合があります。対策方法としては、しっかりと乾燥させた無垢材を用いることが大切です。できれば機械を使わず自然に乾燥させた無垢材が好ましいですね。
また、壁に珪藻土や漆喰などの天然素材を使用した場合も、乾燥の過程で収縮してひび割れることがあります。
大工の技術が必要
乾燥の過程で反りや曲がり、伸縮をする無垢材を使用する場合は、建築の際に大工が木の特徴から反りや曲がりを予想して建築していく必要があります。大工の高い技術が必要になってくるため、その分工事費用がかかる点もデメリットの1つでしょう。
お手入れに注意が必要
「天然素材で作られた家はお手入れが大変そう」という理由で天然素材で作られた家を諦める人も多いようです。確かに一般的な家に比べると、無垢材を掃除する際には乾拭きをしなければいけない点や、漆喰などの壁の掃除は優しく行うことなど注意しなければいけない点はいくつかあります。
でも、実はポイントさえ押さえておけばそこまで難しくはありません。お手入れ方法については、下記で詳しく紹介します。
見た目にばらつきがある
無垢材は合成した木材とは違って、木の模様や節などが均一になりません。見た目にばらつきが出てくるためこれを味と捉えるか、ばらつきがあると捉えるかは人によってメリットにもデメリットにもなる部分でしょう。 もしもあなたが均一な素材を求めているのであれば、天然素材で作られた家は正直おすすめできません。
天然素材の種類と選び方
天然素材には多くの種類があり、それぞれ特徴も違ってきます。天然素材で家を建てる際には床や壁を自分で選ぶ行程がありますが、どんな場所にどんな素材が適しているのかを知っておくことが失敗しない家作りのポイントとなります。
フローリングや内装
傷つきにくいと言われているのが、オークやチーク材などの素材。木目も綺麗に出るのでフローリングに適しています。ただし肌触りはひんやりしていて硬めなので、暖かみを重視したい人には不向きかもしれません。
● オーク(楢)・・・産地によって模様は様々。フローリングの定番
● メープル(楓)・・・硬いが弾力性にも優れている
● チーク材・・・硬くで耐久性が高い。反りや伸縮が少なく水や腐食にも強い
● バーチ(樺)・・・緻密な木肌で、硬い。優しい模様が人気
反対に肌触りや暖かみを重視したいのであれば、スギやヒノキ、パイン材などがおすすめです。衝撃を吸収する効果も高いため、お子さんのいる家庭にも安全で最適ですね。冬でも暖かく過ごすことができる点もメリットです。
● スギ(杉)・・・肌触りがよく柔らかい。日本家屋に多く使われている
● ヒノキ(桧)・・・独特の香りが特徴。強度や耐久性にも優れる
● パイン材(赤松)・・・柔らかな素材。カントリーテイストにおすすめ
傷つきやすいというデメリットもありますが、簡単に補修ができるのでそこまで気にしなくても良いでしょう。
浴室やキッチン
浴室やキッチンなど水周りに強いのはヒノキです。ヒノキは抗菌作用が高くカビが発生しにくいという特徴があるため、古くから浴槽の素材として使われてきた素材です。なんといっても、ヒノキの深く優しい香りによるリラックス効果は魅力的ですよね。
● ヒノキ(桧)・・・湿気に強く朽ちにくい。光沢と特有の香りが特徴
他にも、水回りの壁に使う天然素材でおすすめなのは、トイレなら漆喰、洗面所なら珪藻土です。
漆喰は消臭効果が高く湿度を調節する効果もあるので、小さな空間を快適に使えます。洗面所に使うなら、より湿度を調節する効果の高い珪藻土の壁にするのが良いでしょう。
● 漆喰・・・石灰石でできていて強度が高く、消臭効果が高い
● 珪藻土・・・藻の一種の珪藻の殻が化石になって蓄積したもの。調湿効果が高い
断熱材
断熱材にも天然素材のものはたくさんあります。
● 炭化コルク・・・断熱性能が高い。ただし価格が高いというデメリットも
● セルロースファイバー・・・防音性や調湿性が高いが稀にアレルギーの原因にも
● グラスウール・・・ガラスが原料。吸音性に優れ劣化もしづらい
● サーモウール・・・結露に強く脱臭効果も高い
特にサーモウールは化学物質を含んでおらず、湿度を調節する効果や脱臭効果も高いため人気を集めています。
天然素材の家のお手入れ方法
天然素材の家は、一般的な家に比べるとお手入れに手間がかかるイメージがありますよね。しかし、実はポイントさえ押さえれば意外と簡単なのです。せっかくの天然素材を美しく長持ちさせるコツをお教えします!
床やフローリングは乾拭きが基本
無垢材を使ったフローリングは、乾拭きが基本です。掃除機でゴミを取り除いた後、乾拭きをしましょう。
汚れが気になる時には、水を固く絞った雑巾で拭いた後に乾拭きすれば大丈夫です。さらに、乾燥させたぬかや茶殻を入れた布の袋で磨くと自然な艶が出てくるのでおすすめです。
壁の汚れは優しく落とす
珪藻土の壁の軽い汚れは、消しゴムで消すことができます。他にもメラミンスポンジをしっかり水を絞ってから使うのも有効ですよ。漆喰の軽い汚れは、サンドペーパーなどで優しく表面を削りましょう。
ポイントはどちらも「優しく」お手入れを行うことです。慣れるまでは大変かもしれませんが、手をかけた分オリジナリティーのある色合い、風合いが出てきます。
凹みや傷はアイロンと布で
フローリングに凹みや傷ができた場合には、直したい部分に湿った布を当ててスチームアイロンをかけましょう。木が膨張することで凹みが改善されます。
膨らんでしまった部分はサンドペーパーなどを使って整えたり、必要なら塗装をして整えれば問題ありません。
天然素材のコストは高い?
天然素材で家を建てる時、やはり気になるのは価格でしょう。価格については家の広さや天然素材の種類によっても異なるため、「◯円」と算出できないのが現実です。ただ、購入する上で覚えておきたい2つのポイントがあります。
● 自然素材で依頼主と家を手作りするメーカーは、モデルハウス建築や広告宣伝費があまりかからない分、一般的な家より安くなる場合がある
● 自然素材自体は、合成素材に比べると若干高くはなる
リサーチしたところ、一般的には1坪あたり5〜10万円ほど高くなるようです。あくまで参考価格になるため、価格が上下することは視野に入れておきましょう。
ただ、天然素材で作られた家は、世代を超えて長く住み続けることができます。寿命が30年とも言われる日本の住宅に比べると、コスパも悪くないと言えますね。
さらに、光熱費がかからないこと、アレルギーのリスクが低いことを考えると、多少価格が高くても得られるメリットの方が大きいのです。だからこそ、天然素材で家を建てたいという人が後を絶たないのでしょう。
天然素材の家に住む人のリアルな感想
メリットがたくさんある天然素材の家ですが、実際に住んでいる人はどんな感想を持っているのでしょうか?一足先に家づくりをされた先輩達の声を聞いてみましょう!
● 玄関を開けると森の中にいるような香りに包まれるのがお気に入りです
● 日焼けするほど朽ち果てるのではなく味が出てきた!
● 新築の鼻をつくような匂いがない
● ぬりかべの優しい風合いが落ち着く
● 日中に冷暖房がなくても快適に過ごせている
● 全く湿気がない!
● 肌触りが気持ち良いからいつも裸足で過ごしている
こんな声が多くありました。
一方失敗してしまったという人にはこんな声も。
● 冬になるとフローリングに少し隙間ができる
● 多少の反りや曲がりやヒビは良いが、工務店の対応で差が出る
冬にフローリングに隙間ができるのは、まさに木が呼吸している証拠。それさえ味と楽しめる人なら問題ないかもしれません。しかし「ヒビや反りがあるのは覚悟していたけど、対応の悪い工務店を選んでしまったのが失敗だった」という声も。
多少なりともメンテナンスが必要になる天然素材なので、しっかりとアフターフォローしてくれる会社を選ぶことも大切なポイントです。
天然素材で長く住める快適な家を
天然素材には多くのメリットがある反面、デメリットもあります。一生に何回も購入することができないマイホームだからこそ、良さも悪さも理解した上で選ぶことが後悔しない秘訣だと言えるでしょう!
もしも天然素材の家作りを視野に入れているのであれば、一度ぜひ天然素材の家に足を運んでみてください!実際に足の裏で木の温もりを感じることで、より魅力を感じることができるはずですよ。
ただし、購入する時にはアフターフォローや技術、経験のある会社に建築を依頼することが大切です!世代を超えて長く愛される理想の家作り、ぜひ叶えてくださいね!
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