iemiru コラム vol.208
オシャレなだけじゃない!?コンクリート打ちっ放しの住宅
お洒落な家に住むには修行が必要だった!?
無機質でシンプルなコンクリート打ちっぱなしの住宅。
デザイナーズマンションなどによく採用され、お洒落なライフスタイルを演出するにはピッタリの雰囲気を醸し出してくれます。
ゆえに、実際に「住んでみたい!」と思って物件を探したり、自宅を新築する時には「コンクリート打ちっぱなしで建てよう!」と考えたりしている方も多いかと思います。
しかし実際に住んでいる人の意見を聞くと・・・
「暑いし、寒いし、湿気がすごいから除湿が大変。」
という感じで、まるで修行のような日々が待っているらしいのです。
そこで今回の記事では、
・そもそも「打ちっ放し」ってどういうこと?
・コンクリート打ちっぱなしのメリット・デメリット
・コンクリート打ちっぱなし住宅で快適に暮らす方法
・コンクリート打ちっぱなしを活かした間取り
・コンクリート打ちっぱなし住宅の建築費用
などについて紹介していきます。
コンクリート打ちっ放しの住宅で、スタイリッシュかつ快適に暮らしたい人には必見の内容です。ぜひ最後までお付き合いください。
「打ちっ放し」とは?
RC造り、いわゆる鉄筋コンクリート造りは、建物を作る際に型枠を造り、そこに鉄筋を配置して、コンクリートを打ち込みます。 通常は、この打ち込んだコンクリートの上に塗装をしたり、タイルなどを貼ったりして仕上げをするのですが、この工程を省き、むき出しのままの状態で完成とする手法を「打ちっ放し」といいます。
コンクリート打ちっ放しのメリット・デメリット
現代的でお洒落な雰囲気になるコンクリート打ちっぱなしですが、メリットだけではなく、やはりデメリットもあります。 まずは、それぞれを詳しくご紹介します。
コンクリート打ちっ放しのメリット
①柱が不要になるので、広々とした大空間が作れる
一般的な建物の場合、建物自体を支えるための「柱」が必要となります。そのためどうしても一定区間ごとに柱が入り、そこが空間の区切りになってしまいます。しかしコンクリート打ちっぱなしの場合は、コンクリートの壁自体で建物を支えるために柱が必要ありません。そのおかげで区切りのない、広々とした大きな空間を作り出すことができます。
②耐震性・耐火性に優れているので、保険が安くなる
コンクリートは頑丈で燃えにくく、木造建築に比べ耐震性・耐火性に優れています。1,000℃の炎にも2時間耐えられると言われており、そのため火災保険の保険料も木造建築に比べ約1/3になります。また、その耐火性が評価されて建ぺい率が優遇されるので、土地の広さギリギリまで建物を建てることが可能です。
③防音効果に優れている
コンクリート打ちっぱなしはその素材自体が木材などに比べ音を通しにくいため、防音効果に優れています。そのため近隣の騒音などは遮断され、静寂の中で快適に過ごすことができます。
コンクリート打ちっ放しのデメリット
①夏は暑く、冬は寒い
コンクリートは熱伝導率が高いという性質を持っています。これは暑さや寒さが伝わりやすいということ。更に保温性にも優れていますから、大量に蓄積された熱気や冷気がなかなか抜けていきません。つまり、コンクリートが夏の暑さと冬の寒さをため込んでしまうのです。ゆえに、冷房をガンガン入れても全然涼しくならず、暖房をつけっぱなしにしてもなかなか温まらず、底冷えします。結果的に光熱費が跳ね上がってしまうのです。
②新築は湿気が多く、結露しやすい
コンクリートはセメントと水の化学反応を利用して固まります。前述の通り、保湿性にも優れているので、余分な水分が抜けて完全に乾燥するまで、2年~5年ほどかかってしまいます。 つまり新築に近い建物では常に湿気が放出され、これが結露、カビなどの原因となるのです。
③吸水性が良すぎて、カビなどが生えやすい
新築でなくても、起こる問題があります。完全に乾いたコンクリートは、砂漠が水を吸い込むように、室内の水分をどんどん吸収し、溜め込んでしまいます。そうして貯まった水分がカビを発生させ、喘息やアレルギーなどの原因となってしまうのです。 その他、外壁の場合は汚れた水を吸収してしまうので、水垢による汚れが目立つというデメリットもあります。
コンクリート打ちっ放し住宅で快適に暮らす方法
デメリットを改善して、快適に暮らす方法はないのでしょうか? ここからは、おすすめの対策をご紹介します。
外断熱工法で暑さ寒さをシャットアウト
一般的な木造住宅では家の内側に断熱材を使用する「内断熱工法」が用いられます。 しかしコンクリート打ちっぱなしの場合、この内断熱工法では熱気や冷気を溜め込んだコンクリートに包み込まれることとなり、断熱の効果がうまく上がりません。そこで、外壁を断熱材で覆う「外断熱工法」を使用します。 こうすると、家の中は「魔法瓶」のような環境となり、エアコンなどの冷気・暖気をコンクリート内に蓄積して、冷房効果、暖房効果を長時間持続させることができます。 外断熱工法は施工費が高くついてしまう可能性が高いですが、その分、日常生活における光熱費を抑えることができるので、永く住み続けることを考えれば、お得になるでしょう。
換気扇をフル回転
コンクリート打ちっぱなしの住宅では湿気による結露、カビが問題となりますが、
・窓を開けたり換気扇を回したりなど、換気をこまめにする
・換気のできない梅雨時などは除湿機、エアコンを利用する
・クローゼットなどには湿気取り剤を置いておく
といった対策をとればほとんど問題になりません。換気扇を回しっぱなしにする24時間換気が最も効果的でしょう。
コンクリート打ちっ放しだから実現できる夢の間取り
コンクリート打ちっぱなしの住宅は柱を必要としないため、間取りの自由度が高まります。この特性を生かした夢の間取りの具体例を少しご紹介しましょう。
自宅のリビングに愛車をディスプレイ
リビングの真ん中に自慢の愛車をディスプレイしたり、ガレージを吹き抜けにしてその上にリビングルームを設け、愛車を眺めながら寛いだりといったことも可能です。
ホームスタジオ、ホームシアター
防音性にすぐれるコンクリート打ちっぱなしの住宅は、ホームスタジオやホームシアターを設けるのにも最適です。特に地下室と組み合わせれば防音効果は最強。好きな音や映像を心ゆくまで楽しむことができます。
カフェのような広々ワンルーム
柱のない広々とした開放的な空間づくりを可能ということは、自分好みのインテリアをふんだんに取り入れて、オシャレなカフェのような広々ワンルームも実現できます。
コンクリート打ちっ放し住宅の建築費用は?
坪単価100万円が快適性の分かれ道
一般的な木造住宅の坪単価が40~50万円程度であるのに対し、コンクリート打ちっぱなしの場合は100~150万円程度の坪単価となります。 ちなみに坪単価100万円以下でコンクリート打ちっぱなしの住宅を建てようとすると、断熱材や気密性の高い窓サッシを使うことができず、夏は灼熱地獄、冬は極寒地獄に耐え続ける生活を強いられます。 この坪単価の高さゆえ、賃貸物件の家賃も軒並み高いものとなっています。 お洒落なコンクリート打ちっぱなし物件で快適に過ごすには、コストがかかることを覚悟しておかなくてはなりませんね。
災害に強いコンクリート打ちっ放しは日本向きの住宅
狭い土地に建物が密集し、地震の多い日本の住宅には耐震性・耐火性は欠かせません。 その双方に優れるコンクリート打ちっぱなしの住宅は、まさに日本向きの建築方法ということができます。 お洒落なだけではなく、安心して永く住むことができるコンクリート打ちっぱなし住宅。 ただ憧れだけるだけではなく、デメリットとその対策方法をしっかりと理解した上で、検討してみてはいかがでしょうか。
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