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iemiru コラム vol.259

家を建てたら毎年かかる固定資産税とは?減税や優遇措置を受ける方法を知っておこう

固定資産税とは?

気に入った土地を購入し、こだわりの家を建築し「理想の家づくり」ができたと納得した後の話です。家や土地など不動産を所有すると「固定資産税」という税金が毎年かかってきます。今回は固定資産税について詳しく解説していきます。

所有している土地や建物に課せられる毎年払う地方税のこと

固定資産税を一言で表現すると「自己所有不動産にかかる税金」です。家以外にも田畑や山林などの不動産を所有していれば固定資産税はかかります。自動車を所有していれば毎年「自動車税」がかかりますが、それのマイホーム版、つまり「固定資産税はマイホーム税」とイメージすればよいでしょう。 固定資産税は毎年納付しなくてはならず、納付先は居住している市町村です(自動車税は都道府県税、軽自動車税は市町村税になります)。

毎年1月1日時点での固定資産の所有者が納税する

市町村には「固定資産課税台帳」が整備されており、この台帳には不動産の所在・所有者・評価額等が記載されています。この台帳に1月1日時点で所有者として登録されている人が、その年分の納税額全額の納付義務があります。この台帳の更新は年1回となるため、年の途中で所有者が変更になっても納税義務者は変わりません。 では年の途中で土地を購入した場合の固定資産税は誰が払うのでしょうか?売買しても納税義務者は1月1日時点の所有者、つまり売主です。そこで一般的には土地の売買時に固定資産税の精算を行い調整します。日割り計算で買主から売主に対して固定資産税見合分(当年の残額分)の現金を支払い、売主はそれを原資に固定資産税を支払うのです。翌年からは固定資産課税台帳が更新されますので、納税義務者が買主に変更されます。

固定資産税額はそれぞれの家で変わる?

「固定資産税はマイホーム税」とイメージすれば分かりやすいと説明しましたが、マイホームは自動車と異なり、建てている場所や家の建築年次・面積など、同じものは二つとありません。自動車税はメーカーや車種が異なっても、排気量を基準としてその税額が決まりますが、マイホームは何を基準に固定資産税額が決まるのでしょうか?

固定資産税は地価や建物によって異なる

少し専門的になりますが、固定資産税は「固定資産税評価額」を基準に税額が計算されます。ポイントは「固定資産税評価額は地価や建物により異なる」ことです。 土地の固定資産税評価額について、例えば駅に近く通勤通学に便利な土地は、人気があり地価も高くなります。「地価が高い→固定資産税評価額も高くなる→固定資産税額も高くなる」という仕組みです。新しく駅ができると、地価上昇が見込まれますので、将来的に固定資産税額が上がる可能性があります。逆に人気のない土地は地価も低く、固定資産税額も低くなります。このように、土地の持つ特性や利便性により地価に違いが出てきますので、固定資産税額は土地によって異なってくるのです。 建物の固定資産税評価額は、「もう一度同じ建物を建設する場合にかかる費用に経年劣化を加味したもの」です。建物は延べ面積や建築年次が一棟毎に異なりますので、イメージしやすのではないでしょうか。

固定資産税額の計算方法

基本的には「固定資産税評価額×標準税率1.4%」で求めます。土地の固定資産税評価額は仲介する不動産屋さんに問い合わせれば正確な金額を教えてもらえるでしょう。自分で役所に行き固定資産税課税台帳に記載された固定資産税評価額を閲覧することができればいいのですが、個人情報の関係もあり所有者とその家族以外は原則閲覧できません。建物の固定資産税額は、新築の場合は「購入価格×70%」でおよその金額を求めることができます。なお詳細は後述しますが、土地・建物にそれぞれ固定資産税の軽減措置が設けられています。そのため最終的には軽減措置分の金額を引いた金額が固定資産税として計算される仕組みです。 また土地の固定資産税評価額は3年に1回見直しがされています。そのため地価が上昇すれば固定資産税評価額も上昇することになります。地価が下落した場合も同様です。つまり土地の固定資産税は上下する可能性があります。

建物が古くなるにつれ、税額は減少していく

一方、建物は年々劣化していきますので、固定資産税評価額は年月と共に下がっていく傾向にあります。建物評価額は新築時に一度だけ調査を実施して決定しますが、それ以降は経過年数に応じて機械的に減額していきます。建物の劣化の状況、メンテナンスの良否などの実態は見ていません。経過した年数や物価水準に応じ、固定資産税評価額を淡々と減額していきます。 また経過年数に応じて減額していくと、最終的にはゼロになってしまい固定資産税を徴収することができなくなります。そこで「新築時の固定資産評価額の2割」を最低ラインとし、それ以降はずっとこの価格が継続していきます。あくまでも固定資産税を徴収するための建物評価であり、建物の実態は見ていません。

固定資産税はいつ払うの?

マイホームを取得した年次によって固定資産税を払う時期は異なります。「今年」取得したのであれば、1月1日時点の土地所有者(売主)に支払義務があり、建物はその時点では存在していませんので納税義務はありません。「去年」取得した場合は、今年から固定資産税の納付義務が発生します。

毎年4月に納税通知書が送られる

マイホームを取得し登記が完了すると、特段自分で何かしら手続きをしなくても、各自治体で固定資産の評価が行われ、固定資産税の納税通知書が自宅に送付されてきます。毎年4月に送付されますので、最初の年はマイホームを持った実感に浸ることもできますが、その翌年以降は、固定資産税の納税通知が送付されると気分が沈んでしまうということもあります。

一括納付か分納で支払う

マイホームを所有している間は必ず支払わなければいけません。自動車税は毎年5月に一括で納付しなくてはなりませんが、固定資産税の支払いは金額も大きいため年4回の分割方式が一般的です。各回に納付期限が設定されています。支払時期は日本全国一律ではなく、各自治体が条例で期日を定めることができるため、自身が居住する自治体と隣の自治体とでは支払時期が異なることもあります。必ず納付書に記載された納付期限を確認するようにしましょう。自治体によっては一括で納付することも選択できますので、詳しい納付方法は居住する自治体の担当窓口へ問い合わせてみましょう。 支払方法は、納付通知書を持参して金融機関等の窓口で現金払いする方法や、口座振替による方法が一般的ですが、ネットバンキングやクレジットカード払いをすることができる自治体もあります。

新築住宅には減税措置がある

新築住宅またはマンションでは、一定の要件に該当すると、新築後一定の期間、住宅の固定資産税の軽減を受けることができます。下記に詳細な要件を記載しますが、一般的な新築住宅や新築マンションであれば、まず問題なく要件を満たしています。ただし期限が設けられていますので、新築住宅やマンションを検討している場合は注意してください。

減税措置を受けることのできる要件とは?

一戸建て住宅とマンションでは減税措置の内容が若干異なりますが、共通して以下の要件に当てはまらない場合には軽減が受けられません。 ● 新築であること
● 平成32年3月31日までに取得すること
● 住宅部分の面積が、50㎡以上280㎡以下であること
次に一戸建てとマンションで要件を比較していきます。なお、一般住宅と長期優良住宅では軽減措置を受けられる期間が異なります。

新築一戸建

上記要件を満たせば、その住宅の120㎡分の固定資産税額が3年間(長期優良住宅は5年間)、2分の1になります。

新築マンション

上記要件に加え、以下の建物自体の要件があります。 ● 3階建て以上の耐火・準耐火建築物であること
この要件を満たすと、その住宅の120㎡分の固定資産税額が5年間(長期優良住宅は7年間)、2分の1になります。

土地にも減税措置がある

土地と建物は法律上では別個の扱いですが、実質的には一体です。そこで、新築住宅の場合には土地についても一定の要件を満たすことで、固定資産税の軽減を受けることができます。

減税措置を受けることのできる要件とは?

下記の要件を満たすと、土地の固定資産税の減税措置が受けられます。面積要件によって受けられる措置内容が異なります。 ●1月1日時点で、住宅用家屋の敷地として利用されていること
1月1日時点で建築工事中の場合には、適用対象外になります。ただし、建て替えの場合 は適用対象となることがあります。 ● 小規模住宅用地である(敷地面積が200㎡以下の部分)
この場合、固定資産税が6分の1に軽減されます。 ● 一般住宅用地である(敷地で200㎡を超える部分)
この場合、固定資産税が3分の1に軽減されます。

土地の減税措置の期限

建物の場合は軽減措置期間が限定されていましたが、土地の場合はありません。住宅用地と利用している間は軽減措置が受けられます。逆に言うと、住宅用地として利用しなくなると減税措置がなくなり、固定資産税額が6倍(または3倍)になります。

減税措置後の負担額の計算方法

土地にかかる固定資産税額の計算は下記の計算式で求めることができます(面積により計算式が異なります)。 ● 小規模住宅用地の場合(敷地面積の200㎡以下の部分)
土地の固定資産税評価額×1.4%(標準税率)×1/6(軽減率) ● 一般住宅用地の場合(敷地面積の200㎡を超えた部分)
土地の固定資産税評価額×1.4%(標準税率)×1/3(軽減率) ※土地の固定資産税評価額が分からない場合もありますので、路線価から概算額を求める方法を紹介します。なお路線価は検索サイト等で「路線価 国税庁」で入力すれば、自分で調べることができます。 土地の固定資産税評価額 ≒ 路線価 × 敷地面積 ÷ 0.8 × 0.7

自治体によっては独自の優遇措置がある場合も

固定資産税の標準税率は1.4%と定められており、ほとんどの自治体がこの1.4%を使用しています。ただ、あくまでも標準であるため、自治体によっては1.4%よりも低位の数値を設定していることもあります。標準税率は居住する自治体の担当窓口へ問い合わせれば教えてもらうことができます。 固定資産税は市町村収入の約20%を占めており、大きな収入源になっています。今後の人口減少社会を見据え、自市町村の人口減は固定資産税収入の減少につながるため、優遇措置を設け、差別化を図っています。

リフォームでも減税措置を受けられる

よりよい住宅リフォームを促進するため、住宅性能が向上するリフォームを行った場合に固定資産税が軽減される制度があります。 いずれも自己所有の居住用物件であり、平成32年3月31日までに工事が完了するリフォームが対象です。

省エネリフォーム

省エネ改修工事を行った住宅について、工事翌年分の固定資産税額(120㎡相当分まで)が1年間、3分の1に減額されます。工事費用が50万円超であることが要件となっています。

耐震リフォーム

現行の耐震基準に適合するような耐震リフォーム工事を行った場合には、工事翌年分の固定資産税額(120㎡相当分まで)が1年間、2分の1に減額されます。要件として①昭和57年1月1日以前に建築され、現行の耐震基準を満たさない住宅であること、②工事費用が50万円超であることが要件となっています。

バリアフリーリフォーム

バリアフリー仕様に適合するリフォームを行った場合には、工事翌年分の固定資産税額(100㎡相当分まで)が1年間、3分の1に減額されます。要件として①平成19年1月1日時点で既に建っている住宅であること、②工事費用が50万円超であることとなっています。

リフォームすることで固定資産税が増額することもある!?

リフォームをすると、固定資産税の計算の基礎となる固定資産税評価額も上がり、固定資産税額が向上することがあります。一方で、「自治体による建物調査は最初だけで、それ以降は見ていない」のも事実です。ではどのような場合に固定資産税額が上がってしまうのでしょうか?

建築確認申請が必要なリフォームでは、固定資産税が増額する

リフォーム工事内容によっては、新築時と同様に自治体に対し建築確認申請が必要になることがあります。建築確認申請は自治体に対し「建物価値が向上するような工事をします」と申告しているのとほぼ同じです。それではどのようなリフォームが、建築確認申請が必要になるのでしょうか?

建物の価値が上がるリフォーム

壁・柱・梁・床・屋根・階段等の主要構造部変更が伴ったり、建物を骨組み状態にして全面的に改修を行う場合は建築確認申請を行う必要があります。テレビ番組でおなじみの全面的なリフォーム工事をイメージしてください。 見た目はもちろんですが、耐久性や機能性など建物のあらゆる部分の価値が高まるため、固定資産税額が「劇的」に増額となる可能性があります。

床面積が広がるリフォーム

既存住宅の増築工事を行う場合が該当します。子供部屋を新たに設ける、平屋を2階建てにするなど届出している床面積に変更が生じるため、建築確認申請が必須になります。 床面積が10㎡以上増える場合、または居住しているエリアが防火地域や準防火地域の場合には1㎡でも増築となると、建築確認申請が必要になります。

住宅用の建物を、事務所や建物に使用するリフォーム

あなたの住む地域にどのような用途の建物を建築できるかは、都市計画法で細かく決められています。そこで決められた用途以外の建物が建築されないよう、用途が変更なる場合に場合には建築確認申請が必要とされています。

家を持つなら固定資産税の知識は必須!

「理想の家」は一世一代の大きな買い物です。土地や建物に要する費用や住宅ローンの支払などに加え、自分の家を持つことで「マイホーム税」である固定資産税が毎年課税されてきます。

優遇措置、減税措置を利用するためにも固定資産税を正しく理解しよう

固定資産税の支払はなるべく抑えたいのがほとんどの人のホンネでしょう。マイホームの固定資産税には様々な特例措置が設けられています。特例措置が適用になる要件をしっかり理解し、必要に応じてお住いの自治体へ確認しましょう。 また特例期間終了後は本来の税額に戻るため注意が必要です。固定資産税が特例によって安くなっていることを知らないと、特例期間終了後の納税額上昇に対応できない可能性もあります。マイホームを所有すると毎年かかる税金だからこそ、しっかりとした知識が必要になります。ちょっと難しい税金のお話ですが「理想の家づくり」のため、税金についても正しく理解をしておきましょう。

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