iemiru コラム vol.285
活かし方は様々!グルニエってどこ?増設時の注意点や工事のポイントとは
グルニエは住宅のどの部分?
グルニエという言葉をご存知ですか?グルニエとは「屋根裏部屋」という意味のフランス語で、天井と屋根の間に位置するスペースを指します。 屋根裏部屋といえば、その独特な雰囲気や空間から、子ども時代に憧れていたという方も多いのではないでしょうか。そんなワクワクする場所グルニエは、工夫次第で趣味や収納場所と色んな用途で利用できることから、憧れを抱く方も多くなってきました。 そこで、今回はグルニエの魅力や快適に活用する際のポイントについてご紹介したいと思います。
グルニエの活用方法が再注目!
グルニエといえば、かつてはほとんどが収納場所として利用されていました。スペースが限られていることや、屋根に近いことで気温が極端に左右されることから、生活をするには十分な設備ではなかったからです。 でも、せっかくスペースがあるのならもっと有効的に使いたいですよね?そんな想いから再注目されているのが、グルニエの活用方法です。収納機能だけでなく、リフォームやDIYによって部屋に変化させ、子ども部屋にしたり趣味を極める場所にしたりと使用方法も多様化してきました。
グルニエの活用方法例
収納
季節ごとにしか使わないものや、子ども用品を収納できる部屋が一つあるだけで、居住スペースにゆとりができます。ただし、快適な収納空間にするのであれば、換気や空調機能を整えましょう。そうすることによって、お雛様などの温度の影響を受けやすいものの収納も可能になります。
子ども部屋
少し天井が低くても、子どもにとっては何の影響もありません。むしろ、自分だけの秘密基地としてのびのびと過ごせる空間になります。子どもがいると、色んな所に汚れや傷がつきやすいものですが、人目につかないグルニエなら全く気になりません。
書斎
静かで隔離された空間は、落ち着いて仕事をするための書斎や勉強部屋にするのもおすすめです。家族でにぎやかに過ごすのも楽しいですが、たまには1人で集中して過ごすスペースも貴重ですよね。
趣味の部屋
ルームシアターにしたり、趣味の読書をする場所にしたりと、自分だけのリラックス空間にするのもおすすめです。居住スペースでは不可能だった趣味の部屋も、グルニエなら可能になるかもしれません。
寝室
ある程度のスペースが取れるのなら、寝室にするのもおすすめです。きれいな夜空を見ながら眠りにつく…。こんな贅沢はありませんよね。静かで優雅なグルニエなら1日の疲れを癒す場所に最適です。
グルニエのメリット
通常、部屋数を増やそうと思ったら引っ越しや大掛かりな増改築が必要になりますが、グルニエをリフォームすれば、それだけで一室増やすことができます。居住空間を狭めることなく一室増やすことができれば、収納面でも家族の生活面でも得られるメリットは沢山ありますよね。
収納スペースを増やせる
多くの方が抱えている「収納場所がもっとあれば家が片付くのに…」という悩み。グルニエがあれば解決できるかもしれません。グルニエを上手に活用すれば、収納場所を各段に増やすことができます。
人目に触れない
グルニエは孤立したスペースになっているため、人目に触れることがありません。よって、どんなに散らかっていたとしても、気兼ねする必要はないのです。いつでも自分の好きなように利用できます。
活用法は無限大
グルニエの構造上の規定はありますが、活用法に制限はありません。ただただリラックスのためだけの部屋にするのも良いですし、アトリエにしても良いのです。自分だけの素敵な空間にしてくださいね。
非日常を楽しむことができる
場所も形状も独特なグルニエは、非日常を楽しむには最適な場所です。狭い空間にいると、何だかとっても落ち着きませんか?人は本能的に、狭い空間にいると落ち着くようになっているのだそうです。
グルニエのデメリット
グルニエのデメリットとしては以下の項目が挙げられます。
●高温多湿になりやすい
●天井までの高さが低く掃除がしにくい
●可動式ハシゴを設置する場合、荷物の出し入れが大変
●収納場所として使う場合、結局使わなくなることもある
●ハシゴからの転落の危険がある
デメリットの多くは、「場所」が問題になっています。場所が高いことで高温多湿になりますし、荷物の出し入れも大変になるのです。とても便利なグルニエですが、結局は使わなくなってしまう可能性もあるのです。小さいお子さんや高齢者の方がいらっしゃるご家庭などは、増設前に危険性や利便性も十分に考慮した方が良いでしょう。
ロフトとグルニエの違いとは
ロフトとグルニエ、どちらも同じように感じてしまいますよね。確かにどちらも建築基準法では「小屋裏物置」という扱いになるのですが、明確な違いもあるのです。
ロフト
●部屋の中の上部分に位置している
●ハシゴが固定または階段が固定されている(特に規定はない)
●専用のハシゴがあることからも部屋としての意味合いが強い
グルニエ
●天井と屋根の間の屋根裏に位置している
●ハシゴは収納式になっている(固定できないもの)
●物置や収納場所としての意味合いが強い
大きな違いは、位置する場所とハシゴが固定式であるかそうでないかです。ロフトは部屋の一部、グルニエは屋根裏部屋という点で見ても随分違いますよね。
グルニエを活用する場合の注意点
グルニエは位置する場所が特徴的なので、快適に活用するにはいくつか注意点があります。
断熱施工は必須
グルニエは外気の影響を受けやすいため、夏は暑く冬は寒くなります。理由は、グルニエが断熱材の外側に位置しているからです。通常家を建てる場合、住居の範囲だけを断熱材で囲むことが多く、グルニエまでは囲まないことがほとんどです。そのため、グルニエを部屋として利用するのであれば、断熱施工は必須となります。断熱施工をしないままエアコンを設置しても、それだけでは快適な空間は得られないでしょう。 また、窓がないことから湿気がこもりがちになってしまいます。明るさの面でも通気性の面でも適切な大きさの窓があると良いですね。その際に気を付けておきたいのが、窓の大きさです。窓が大きければ大きいほど沢山の明かりは取り入れられますが、太陽光が入りすぎて暑くなるというデメリットもあります。その場合は紫外線防止フィルムやブラインドを利用して遮光をすれば、そのデメリットも解消できます。 グルニエに窓があることで、グルニエだけでなく居住空間の熱気も逃がしてくれるというメリットもありますから、通気性は万全にしておきましょう。
床の耐荷重量が軽い
床の耐荷重量とは、床がどれだけの重さに耐えられるかを示すものです。グルニエは多くが収納としての役割を果たすため、人が安心して生活できるほどの床の強度は持ち合わせていません。 そのため、居住スペースにする場合はフローリングを敷くなど床の補強工事が必須となります。 また、グルニエが位置する場所も問題です。グルニエは家の一番上に位置していますよね。よってその部分が重ければ重い程、家全体のバランスが悪くなり安全性や耐震性に影響が出てしまいます。安全に生活するためにも、グルニエに重い家具を沢山設置するのは控えましょう。 例えば、軽い本棚であっても本をいっぱい詰めるとかなりの重量になりますよね。このように家具自体は軽くても、本棚や水槽のように利用するうちに重くなっていく物もありますから、設置する家具には十分注意しましょう。
法律上の注意点がある
グルニエは平成12年の建築基準法の改正によって、面積は下の階の2分の1以下、天井高は最大1.4メートル以下と定められています。改正前は下の階の8分の1の面積が上限だったので、以前に比べたら様々なシーンで利用できるようになりました。 ただし、この床面積の上限を超えてしまうと2階建ての場合は「3階」という扱いになってしまい、グルニエにも固定資産税が別途かかりますので注意が必要です。 地域によって法律上の制限は様々ですので、増設の際は必ず事前に確認しましょう。
グルニエを増設するためのポイント
施工は業者に任せましょう
屋根裏の状態からグルニエを増設する場合、資格を持っていなければできない施工が沢山あります。自己判断でのDIYは非常に危険ですので、必ず業者の方に任せましょう。 新たに増設する場合、まずはグルニエの入口から探さないといけませんよね。屋根裏にはその家の主要構造部と言われる柱やはりなど、建物を守っている大切な部分が沢山あります。正しい知識を持って施工を行わなければ、その家の構造自体に問題が出てしまうかもしれません。床面の強度ひとつをとっても、防音など様々なことに配慮する必要があり、難易度の高い施工と言えます。 また、快適な居住空間にするにはコンセントの増設や配線工事が不可欠となりますが、最も危険なのがこの電気に関する工事です。電気工事の場合、少しのミスが大きな事故や火災に繋がる可能性が高いため、資格だけでなく工事の経験も必要不可欠となります。 「断熱材を張る程度のDIYなら可能では?」と感じてしまいますが、断熱材によっては素手で触ると傷やかゆみが出るものがありますし、きれいに隙間なく張っていくのはプロでないと難しいでしょう。一般の方でも簡単に取り付けることのできる断熱材もありますが、少しの隙間で断熱の意味はなくなってしまいますし、結露が出てしまうなどの問題やリスクも出てきます。 DIYをすることで費用を抑えることはできますが、長く安全快適にグルニエで生活をするためには、確かな技術を持った業者の方に施工を任せた方が安心でしょう。
設置できない場合も考えておく
グルニエは、法律を満たしていれば必ず設置できるというものではありません。例えば、グルニエは天井と屋根の間のスペースに作られるため、極端に狭い場合などは設置が難しくなります。 また、グルニエが増設できたとしても換気や採光のための窓が設置できないという場合もあります。その際は換気扇を利用するなど代用策を考えましょう。
入口には広いスペースを確保する
グルニエをどんな用途で使用する場合でも、重く大きい荷物の出し入れという点から見て、入口は広い方が良いでしょう。入口が狭いために家具の出し入れができず、グルニエの活用法が制限されると残念ですよね。それに重い荷物を運ぶというのは、それだけでも大変で危険な作業です。少しでも安全でスムーズに作業ができるよう、入口には適切な広さを確保しておきましょう。
ハシゴは安全第一に
グルニエのハシゴは収納式ですから、様々なことに気をつけなければなりません。中でも一番大切なのは、ハシゴを設置する場所です。ハシゴを設置する際は“安全面を第一”に考えましょう。そのためには、まず家具の配置や動線を十分に考慮しなければなりません。ハシゴを降りたスペースに部屋がある場合は、家具のレイアウトを事前に考えておきましょう。降りたスペースが廊下の場合は、危険を回避するために階段の向きやハシゴを引き下ろす向きなども考慮しましょう。 グルニエを子ども部屋にするのなら尚更注意が必要です。子どもが利用する場合は、デザイン性よりも実用性や安全性を重点的に考えましょう。ハシゴは滑りにくい素材を選び、転落などの事故を防ぐためにも、グルニエ内にフェンスを設けておくと安心です。
憧れのグルニエで非日常的な空間を楽しもう!
グルニエの最大の特徴は、完全なプライベート空間として利用できることです。日々人との関わり合いの中で生きる私たちにとって、“自分だけのプライベートな空間”というのは大変貴重です。 唯一リラックスできる場所、誰にも怒られずに遊べる場所、集中して仕事ができる場所… 使う人にとって様々な役割を果たすグルニエ。ポイントはその“様々“という点です。使う人によって重要視する部分は違ってきます。例えば収納場所にしたい場合、”何を収納したいか”で設計も変わってくるでしょう。 後から後悔しないためには、計画段階から細かい計画を練っておくことが重要です。明確で細かい計画があれば、工事もスムーズに進むでしょう。 ぜひ憧れの空間を手に入れてくださいね!
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