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iemiru コラム vol.287

一軒家の購入と賃貸はどっちがお得!? メリット・デメリットをわかりやすく解説

近年住宅ローンの低金利が続いている影響もあり、一軒家の購入を検討している方も多いのではないでしょうか? 検討するに当たっては「持ち家」と「賃貸」のどちらがお得なのか、迷うポイントかと思います。 本記事では一軒家についてマンションと比較しながら、「持ち家」「賃貸」それぞれのメリット・デメリットを解説していきます。ご自分やご家族にあった住宅を見つけて、充実した生活を送っていきましょう。

一軒家の購入「夢のマイホーム」は根強い人気

H30年7月に国土交通省から発表された「土地問題に関する国民の意識調査」によると、「一軒家に住みたい」と答えた方が64.9%もおり、昔から変わらず「夢のマイホーム」に対する根強い人気があると分かりました。 少しずつマンション賃貸を希望する方も増えていますが、まだまだ一軒家の人気が高い時代が続くようです。

一軒家を購入する5つのメリット

① 支払い後は「資産」になる

マイホームの購入は土地代と合わせて数千万円もする高額な買い物ですが、住宅ローンの支払いが終わった後は、すべて自分の財産とすることができます。「動かない財産」つまり「不動産」は、形ある財産として有効です。 建物の価値は木造なら20~22年、鉄筋コンクリートなら47年を目安に減価償却、つまり一定額ずつ下がっていきます。実際に売却するときに0円になることはありませんが、耐用年数があることを把握しておきましょう。 土地の価値は、建物のように耐用年数があるわけでなく、常に市場価値(土地の人気度合い)によって価格が決まります。そのため比較的価値が下がりにくく、土地によっては購入時より売却時の価格がアップするのも特徴です。

② 老後の計画がたてやすくなる

一軒家を購入した場合、20~35年かけて住宅ローンの返済が終われば、支出は固定資産税や維持管理費だけで済みます。大規模なリフォームをする場合は別ですが、マンションで家賃を払い続けるよりも余裕ができるため、定年後のライフプランが立てやすくなるのが特徴です。 また購入時は4~5人家族で、ローン支払い後に夫婦2人世帯になったときなどは、一軒家を売ることでマンションに住み替えるための資金にもなります。建物価格は減価償却されますが、土地価格は変化が少ないので、まとまった金額になりやすいのが特徴です。

③ 自分や家族にあった生活を送れる

とくに注文住宅の一軒家を購入する場合、自分や家族にあった間取り・内装にすることができます。マンションのような規約もないので、存分にDIYやガーデニングといった趣味を楽しめるのもメリットです。 また老後を見据えてバリアフリーな間取りにしておけば将来も安心ですし、小さな子供がいる間は伸び伸びと子育てができます。さらに戸建は床面積が大きいので、ものが多い世帯でも十分な収納力が魅力です。

④ 子育てなどの騒音トラブルが少ない

マンションの場合は壁一枚をはさんでお隣さん宅があるので、 ・TV音 ・話し声 ・トイレの音 といった生活音の影響を受けやすくなっています。相手からの生活音だけでなく自分たちの生活音も気を付けなければいけないため、子育て世代は子供のバタバタとした足音など、ひとつひとつの行動に気を遣うことになります。 その点、戸建てであれば建物同士が離れているので、マンションほど気を遣うこともなくおおらかな生活が可能です。 またマンションは駅近の繁華街に、戸建ては閑静な住宅街にあることが多いので、静かな環境で暮らすことができます。

⑤ 社会的信用を得られる

ひと昔前は「家を建てたら一人前」といった価値観が当たり前だったように、現代でも戸建てを購入することで社会的な信用を得られるケースが多いです。 現代では昔の価値観は薄まっていますが、住宅ローンを組むにも「安定した収入」といった点が評価対象になりますので、信用を得やすいと言えます。 実際に車を購入するときや、クレジットカードをつくるときでも、一軒家を持っている方が審査に有利となるのが一般的です。

一軒家を購入する5つのデメリット

① ライフプランの変化に対応しにくくなる

一軒家を購入した場合は、仕事や子供の進学にあわせて引っ越し・住み替えがしにくいのがデメリットです。賃貸であれば1ヵ月前に解約届を出せば簡単に手続きができるものの、購入している場合は複雑な手続きが必要になり、売却するにも買い手が付くまで時間がかかってしまいます。 また一軒家では荷物が多くなる傾向があるため、同じ分量が入る住宅を探すのもひと苦労です。同じ床面積の賃貸を借りるには家賃が高くなり、戸建ての支払いに比べて月々の支出が多くなるので家計を圧迫します。

② 初期費用が高額になる

例えば建売の一軒家を購入する場合、 ・仲介手数料 ・登記費用 ・ローン保証料 ・火災保険腸 ・印紙代 といった初期費用だけで数百万円もするのが一般的です。住宅ローンの頭金を出すときは、貯蓄から数千万円も捻出することも。 最近では貯金がなくても住宅ローンの審査に通る場合もありますが、上記の初期費用があるのでまとまった資金がない方は一軒家を購入することができません。 仮にギリギリ住宅ローンを組んで初期費用を払うことができても、教育費や車のローンなど高額な支出は他にもあるので注意が必要です。

③ 売却するときの相場が分からない

転勤や生活スタイルの変化など、なんらかの事情で一軒家を売却する場合、想定よりも相場が下がっている可能性があります。当てにしていた売却費用がなくなってしまえば、引っ越し後の計画が破綻してしまうことも。 売却時は「建物価格+土地価格」が販売価格となりますが、減価償却される建物価格は当てにしない傾向があり、土地価格の下落は大きな損失となります。例えば購入時は新興住宅地で土地が高くても、売却時は街の高齢化による不人気で価格が下がる、といったこともあります。 都内23区や大都市近郊のように人気が続いている土地であれば、街が古くなっても再開発があり価値の継続が見込めますが、そうでない土地は安易に「土地代は変わりにくい」と決めつけず、定期的に市場調査をすることも大切です。

④ 維持管理は自己責任

マンションであれば共有部分や設備の維持管理を管理会社へ任せられますが、一軒家であればすべてを自分たちで維持管理しなければいけません。とくにガーデニングなどをしていなくても、放っておけば庭に雑草が生えてきますし、門扉周辺にも枯葉やゴミが溜まっていきます。 また地震で外壁にひびが入った場合なども、マンションであれば管理会社が補修手配をしますが、一軒家であれば自分でいくつかの段取り・手配が必要です。

⑤ 高度な防犯対策が必要

警察庁が発表したH29年中の「侵入窃盗の場所別発生状況」によると、窃盗被害にあった一戸建て住宅は全体の23.3%も占めていると分かりました。マンションや飲食店・事務所なども対象となるなか、最も被害に遭いやすい建物であると言えます。 戸建の場合は「車の有無」「照明の点灯」「窓の開け閉め」などによって不在であることがわかりやすく、侵入経路である「窓」数も豊富。敷地内に入ってしまえば植え込みやフェンスなど身を隠す場所がたくさんあるので、泥棒にとって有利な条件が揃っています。 戸建の場合は泥棒が嫌がる「防犯砂利」や「センサーライト」、セコムなどの防犯システムの導入といった防犯対策が必要でしょう。

一軒家を賃貸で借りる5つのメリット

① 初期費用を抑えられる

一軒家の賃貸は、マンションやアパートの賃貸と同じく、「敷金・礼金」「仲介手数料」「家賃保証」といった初期費用しかからないので、数十万で済む場合がほとんど。住宅ローンを組んで購入する場合は初期費用だけで数百~数千万円かかるので、相当安く済みます。 初期費用を安く抑えた分だけ余裕ができるので、子どもの貯金や教育費・保険料などに回すことが可能です。またハードルが低い分、仕事や子供の進学にあわせて環境を変えやすいと言えます。

② 税金の負担がない

一軒家を購入する場合は、 ・印紙税 ・不動産取得税 ・固定視線税 ・都市計画税 といった税金がかかり、負担となります。これらの税金は購入時または年に1回~数回かかるので、毎月発生する家賃に比べると計算しにくく、収支計画を立てる際の邪魔になりがちです。 賃貸であれば税金は発生しないので負担もなく、家賃は毎月発生するので収支の計算も楽になります。

③ 気軽に引っ越しできる

一軒家の賃貸は、マンション・アパートの賃貸と同じように、退去する1ヵ月前に解約届を出せばいつでも引っ越しができます。一方、一軒家を購入した場合は登記変更や売却など、複雑な手続きと時間が必要です。 仕事環境や子育て環境にあわせて暮らしたい方にとって、一軒家は賃貸で借りる方がフットワークを軽くできるのでおすすめです。

④ 災害時の立て直しが早い

もしも大地震などの災害に遭った場合、賃貸の方が経済的な損失が少ないので、生活の立て直しを早く進めることができます。賃貸であれば改修工事の義務はオーナーにありますし、復旧に時間がかかりそうなときは早く引っ越しできるのがメリットです。 一軒家を購入して震災被害に遭った場合、建物がなくなったのにローンの返済だけが続くというケースも想定されます。地震には「地震保険」がありますが、地震保険で補償されるのは、火災保険の30~50%なので立て直し費用にはなりません。 地震保険はあくまでも生活の立て直し費用として支給されるものなので、「地震保険で住宅ローンが全額返済できる」と思っている方は注意が必要です。

⑤ 賃貸マンションよりも自由度が高い

賃貸でも一軒家であれば、マンションでありがちな生活音問題などに気を遣う必要がありません。小さな子供がバタバタと家中で遊びまわっても、気を遣うことなく生活ができます。たまには遅い時間までTVや映画を楽しむことも可能です。 またマンションでは共有部分が多く、規約によってベランダや玄関周りの使い方が制限されますが、一軒家なら敷地内をある程度自由に使うことができます。

一軒家を賃貸で借りる5つのデメリット

① 家賃を払い続ける不安

一軒家を購入した場合、いつかは支払いが終わる安心がありますが、賃貸の場合はずっと家賃を払い続ける不安があります。一般的に老後が近付くにつれて収入が減っていきますので、延々と続く家賃の支払いはストレスになりがちです。 年金生活になると、持ち家であれば月々の支出が少ないので収支も安定しやすいですが、賃貸の高い家賃は家計を圧迫します。30~40代のうちから老後の資金を意識して貯蓄しておくことが大切です。

② 借りる期限がきまった物件(定期借家物件)が多い

一軒家の賃貸は、オーナーの転勤などが理由で一定期間だけ貸していることが多く、更新なしで明け渡しが必要になる物件がほとんど。こういった物件を定期借家物件と言いますが、契約期間は「2年」としている物件が一般的です。 そのため、子育てのために2年以上一軒家に住みたい方は、賃貸物件を探すのもひと苦労。反対に転勤先の期間限定でも広い一軒家に住みたい、といった方にとっては都合がいいと言えます。

③ 駅近物件が少ない

一軒家は駅から少し離れた住宅地に建てられる傾向があるため、賃貸でも駅近物件が少ないのがデメリットです。徒歩10分以内の物件であれば良いほうで、多くの物件が徒歩15分以上であったり、バスで10分以上かかったりします。 車社会の土地で、自家用車を所有していれば問題ありませんが、通勤通学で電車に乗る家庭であればストレスの原因になってしまいます。

④ 物件は自己管理になる

マンションの賃貸は、共有部分を管理会社が手入れしますが、一軒家の賃貸では自分たちで手入れする必要があります。一軒家は庭の雑草抜き、玄関アプローチの掃除など、地味な日々の負担が大きくなるので注意が必要です。 またエアコンが取り付けてあった場合なども、契約によっては故障したときの修理費用や買い換え費用は自己負担になります。マンションの賃貸に比べて自由度が高い分だけ、自己負担も大きくなるのが特徴です。

⑤ それなりに近所付き合いがある

一軒家では賃貸であってもある程度のご近所付き合いが発生します。本来であれば不審者情報を共有したり、災害時に協力したりする関係になりたいものですが、なかには行き過ぎた干渉をしてくるご近所さんもいらっしゃいます。 そういった方への対処が苦手な方にとっては、近所付き合いがストレスになりがちです。挨拶程度の付き合いを希望する方は、マンションの賃貸にする方が無難と言えます。

経済的な損得だけでなく理想の生活を考えよう

一軒家にはマンションにない自由度があり、より伸び伸びと生活できる環境が魅力です。一方で自己管理する範囲が大きいので、日々の負担を減らしたい方には不向きと言えます。 また住宅を購入すると自分の資産になりますが、購入時点から価値が下がっていくので注意が必要です。 経済的な損得だけを考えていると、結論が出ないまま過ごしてしまいがちになります。 持ち家と賃貸それぞれにメリット・デメリットがあります。これらを踏まえて、まずは自分達の希望条件を整理し、それらに優先順位をつけた上で、改めてどの住宅スタイルなら理想の生活に近づけるかを考えてみてはいかがでしょうか。

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