iemiru コラム vol.296
工務店で自宅を建てたい人必見!知っておきたい工務店の基礎知識
工務店は現場の責任者!
一般的に工務店は、その地域に根ざし、新築や改修、ちょっとした修理など、建物に関する様々なことを請け負っています。古くから代々受け継がれている工務店も多く、技術の継承が行われているため、安定して高い技術を維持しているのが工務店の特徴といわれています。 工務店の仕事は、設計や大工工事、材料の手配など多岐にわたりますが、最も重要な役割は現場の施工管理を行うことです。 建築の作業は分業化されていて、大工工事、電気設備工事、給排水設備工事、クロス貼り、塗装など細かく分類されています。これらの工事に関わる大工や職人を束ね工程を組み、正確で安全に工事を進めるための指揮をとる役割をしています。
住宅を建てるのが主な仕事
工務店は、主に木造の大工仕事を得意としているところが多くあるため、仕事の主な内容は住宅を建てることになります。 多くの工務店は小規模で経営しているため、フットワークが軽く、融通がききやすいという面があります。理想の家づくりには、一人ひとりの生活スタイルや要望に合わせて作り上げることが必要不可欠です。そのため、高度な技術力と柔軟な対応力のある工務店は、住宅を建てることに向いている組織と言えるでしょう。
依頼によっては公共施設も建てる!
住宅に限らず、高い技術力やきめ細やかな対応が評価されて、公共施設や幼稚園、店舗など多くの建物の建設に携わることもあります。 住宅から公共施設まで幅広いタイプの建物の建築経験を持つ工務店は、建物に関しての幅広いノウハウが蓄積されるので、これが更なる安心感に繋がるのです。
工務店詳しく知るための3つの特徴
工務店にも様々なタイプの工務店があり、得意としている分野が異なります。分譲住宅のように同じような形を早く大量に作ることを得意とする工務店や、ハウスメーカーの下請け業を中心としている工務店などがあります。ここでは、「設計から施工、施工管理まで一貫して業務を行っている工務店」の特徴について紹介していきます。
地域に根づいた建築会社
前述のとおり、工務店は小規模経営をしているところが多く、中には営業拠点を複数構えている工務店もありますが、それでも営業範囲は近隣の都道府県に限られています。 最初の窓口から引き渡し、そしてアフターサービスまで一人の担当者がついてくれるので、メンテナンスや補修、修理など、建物に関することを気軽に相談でき、大きなトラブルに発展することが少ないことが特徴です。
技術力が非常に高い
工務店は地域に根ざし、長年に渡って現場に関わり住宅を建て続けているため、その地域に建てる際の技術や知識などのノウハウが蓄積されています。 「外壁のメンテナンスの負担を減らしたいのならこの外装材がおすすめ」、「長く安心して住めるよう耐久性を高めるにはどうすればいいのか」など、現場に出て実際に手を動かしているからこそ知っている情報もあるでしょう。
信頼関係を大切にする
地域に根ざしているからこそ、近隣にはその工務店が手がけた建物が複数存在しています。そして、口コミでの紹介がメインとなるので、少しでもネガティブな噂があればすぐに広がり、仕事の依頼は無くなってしまいます。 そのため、施主に対しての誠実な対応、確かな技術力による建設の実施、アフターメンテナンスなどを含めた信頼関係づくりを大切にしてくれます。
工務店で自宅を建てるメリット
家づくりを考える際、どこに依頼をすればいいのか悩むところだと思います。ほとんどの人はハウスメーカーにするのか、工務店にするのかで悩むのではないでしょうか? ここでは、ハウスメーカーと比べ工務店で自宅を建てる場合、どんなメリットがあるのかを紹介していきます。自分が理想の家を建てる際にはどちらを選ぶ方がいいのか、決断する際の参考にしてください。
設計の自由度が高い!
設計に対して比較的制約がないのは工務店のメリットといえるでしょう。もちろん、建築基準法をクリアすることや予算の問題もありますが、こだわりのある家を建てたい場合の家づくりを、工務店に依頼するのはおすすめです。 もし、工務店に設計と施工を合わせてお願いする場合は、相談しやすい相手かどうか、イメージを具現化し、必要なアドバイスをしてくれるかどうか、思い描いている住まいを一緒につくりあげていけるかなど、工務店との相性も大切になってきます。気になる工務店があれば、見学会やホームページの閲覧、既に出来上がっている建物を見に行くなどしてみましょう。
施工費を抑えられる
ハウスメーカーと違い、地域に密着している工務店は大体的な広告をしたり、モデルハウスで営業活動をしているところはほとんどありません。また、施工自体をどこかに委託することはありません。 そのため、膨大な経費や人件費の必要がなくなります。工務店の施工費用がハウスメーカーより抑えられていることが多いのは、これらの費用がかからないためです。ゆえに、一般的に工務店でつくる住宅は、高い技術を持った職人が手がけた高品質の建物を、価格を抑えて建てることが出来ると言われています。 ただし、銘木を使ったり、キッチンなどの設備にこだわった場合は必ずしも施工費用が抑えられるわけではありませんので、注意が必要です。
現実的な相談ができる
現実的な相談ができる
実際に手を動かし現場で働いているからこそ、現実的かつ的確な提案をしてくれることが多くあります。「おしゃれに見えるけど実はメンテナンスに費用がかかる」や「工費は安いが耐久性に乏しい」など、現実的な意見をしてくれるのも工務店で家を建てる際のメリットです。 雑誌やSNSなどで見た素敵な家に憧れて、自分も同じようなデザインにしたいと思った場合は、是非プロの意見も聞いてみましょう。 膨大な情報の蓄積から、材料や間取り、施工方法などについてのメリットやデメリットを知り尽くしている工務店なら、きっと良いアドバイスをしてくれるはずです。
工務店だからこそ起きてしまうデメリット
どんなことにもメリットがあればデメリットもあります。しかし、デメリットを理解した上で選択するのであればトラブルを回避することができ、発生する確率を低くすることも可能となります。 適切な対応が取れるように、どんなデメリットがあるのか事前に知っておきましょう。
職人の技術力が均一ではない
工務店の職人の多くは高い技術力を持っていますが、その実力は同じ工務店の中でもばらつきがあります。 多くの現場では、現場の責任者が完成度のばらつきが出ないように人員のバランスを取ったり、ベテランがフォローしたりするなど、施工精度が落ちないよう工夫していますが、人員不足になるとバランスが取れなくなる可能性もあります。 口コミや紹介でない限り、職人の技術を見極めることは難しいでしょう。ですが、依頼を予定している工務店が建設している現場に行ってみることをおすすめします。現場の雰囲気が悪い、ゴミが散乱している、道具が整理整頓されていない場合は、管理が行き届いていなかったり、仕事の丁寧さに欠ける可能性があります。
分かりづらい部分が多い
大半の工務店にはショールームや住宅展示場がないため、どんなデザインの家を建てているのかといったイメージがつかみにくいことが多いです。 また、最新の住宅設備などの知識や資金計画などの提案力が乏しい場合もあります。 そのため、仕事を依頼することに二の足を踏んでしまうことがあるかもしれません。全く知らない工務店に家づくりをお願いすることは勇気がいることです。理想の家を実現させる作業の一環として、気になる工務店の口コミなどの情報をしっかりと収集しましょう。
信頼関係が頼みの綱
地域に根ざして経営している工務店は信頼関係を大切にしていることを紹介しましたが、その信頼関係が崩れると家づくりに大きな悪影響が出る可能性があります。 家づくりは土地探しから始まって引き渡しの日まで、何度も工務店の担当者と打ち合わせを重ねていきます。トラブルが起きるリスクを避けるには、密接にコミュニケーションを取り続け、信頼関係を築いていけるかどうかが大切です。 また、完成後も工務店との関係は継続します。アフターサービスが体系化されていない場合、ハウスメーカーのような長期の保証を受けられない可能性も出てきますので、この点も担当者にしっかりと確認しておきましょう。
優良な工務店の探し方
工務店探しには様々な方法があります。 工務店が持つ特色は、積極的にアピールしている場合とそうでない場合、どんな媒体を使って宣伝活動をしているのかによっても見えてきます。 ここでは、代表的な手段をご紹介します。
インターネット
インターネットで検索する方法やSNSを使った探し方です。 最近はSNSを使って積極的に営業を行っている工務店も出てきています。 時代の流れに合わせて経営方針を柔軟に対応させている工務店は、常に新しいものを取り入れようと日々勉強していることが多く、実際の家づくりに関しても、古い概念に囚われず柔軟な発想を持っている傾向にあります。 インターネットで工務店を探す場合、「工務店+家を建てようとしている地域」でまずは近隣にある工務店を探すか、工務店検索サイトの利用、雑誌や住宅情報サイトなどで気になった工務店を検索してみるのが主な探し方でしょう。 気になる工務店のホームページやブログなどがあれば、工務店の持つ特色を確認しておきましょう。ホームページには、竣工写真や家づくりに対する考え方、社員の顔ぶれなど、工務店を知ってもらうための情報が載っています。特にブログには、更新頻度や現在進行形の状況などにより、社風や人柄などが具体的に感じ取れると思います。インターネットで得られた情報から、自分との相性を確認してみましょう。
知人からの紹介
高品質の建物を誠実に作り続けている工務店の中には、ホームページなどを開設せずに紹介をメインにしているところもあります。こうした工務店は知人からの紹介でしか探し出すことが難しくなります。 知人からの紹介は、これから家を建てる側も工務店側も双方安心できるマッチング方法です。実際に工務店が手がけた家を見ることもできるので、完成時のイメージがしやすいことや、工務店の特色・完成するまでの流れなどの疑問に思っていることを事前に確認し易いことも、知人に紹介してもらう場合のメリットでしょう。
折り込み広告
折り込み広告は以前からよくある工務店の営業手段で、主に近隣地域に配布されることが多いようです。多くの人に広く知ってもらうために今でもよく行われています。 折り込み広告で、現地見学会の案内を記載している工務店もあります。機会があれば足を運んでみることをおすすめします。まだ依頼するか分からない段階でも、見学会に参加してみることで、家づくりの雰囲気を感じたり、他の工務店と比較検討するベースにしたりすることができますよ。
ハウスメーカーとの違いはどんなところ?
ハウスメーカーにするか工務店にするか、家づくりを考えたことがある場合、一度は悩むのではないでしょうか? ここでは、ハウスメーカーと工務店の代表的な違いを紹介していきます。 自分が理想としている住まいはどちらを選択すれば実現しやすいのかを整理し選択する際の参考にしてみてください。
事業展開の規模
大きな違いは事業展開の規模です。工務店が地域密着型なのに対して、ハウスメーカーは全国規模で展開しているところが多くあります。大手ハウスメーカーの中には、海外に拠点を持っているところもあり、知名度が高いことで安心感を持つ人も多くいると思います。 全国どこでも同じ品質の住宅を提供することができるように、建物完成までの工程がシステム化されていることも工務店との違いです。工務店よりも融通が通りにくいのはそのためです。 その反面、一定の品質の維持が可能になっていることが強みとも言えます。
施工するのは工務店!
意外と知られていませんが、ハウスメーカーの施工を担当するのはその近隣にある工務店です。ハウスメーカーの職人ではありません。前述しましたが、工務店の中にはこうしたハウスメーカーの下請けを専門としているところがあります。 ハウスメーカーとこうした下請けの工務店の役割は明確に分かれていて、ハウスメーカーが営業を行い、施主との契約を結びます。そして、実際の工事は下請けの工務店が行っているという構造です。そのため、工務店の人間と施主が直接やり取りをすることは基本的にありません。
線引きの基準は曖昧
これまで紹介した違いがあるとはいえ、もともと、ハウスメーカーと工務店の線引きには明確な基準がないため、曖昧なのが実態でした。 しかも最近では、「モデルハウスを作り、全国展開している工務店」や、「最初は地域に根ざしたところから始まって徐々に規模が大きくなり、広範囲で展開するようになった工務店」が登場していますし、「これまでより設計の自由度が高い商品を扱うハウスメーカー」や「ローコストハウスメーカー」なども登場してきています。 つまり、明確な線引きはますます難しくなってきているといえるでしょう。
工務店が持つ豊富な知識と確かな技術で理想を叶えよう!
紹介してきたように、地域に根ざした工務店は、豊富な知識と確かな技術力を持っていると言われています。自分だけのオリジナルな家を安心して任せたい場合、工務店と一緒に家づくりをすることが理想の住まいを手に入れる近道になるかもしれません。 また、地域に根差した工務店であれば、コミュニケーションを密に取る機会が多くなるため、家づくりの工程の楽しみを一層実感することができますし、お互いが真剣に向き合ってつくりあげた家が完成したときの喜びはひとしおで、より強い愛着が湧くはずです。
自分の理想を叶えられるパートナー
住まいや暮らし方に強い関心があり、こだわりを持って世界に一つだけの住まいをつくりたいと考えている場合、工務店は心強いパートナーになってくれるかもしれません。 担当者との密な話し合いを重ね、信頼関係を築くことで、家族のライフスタイルに合わせた間取りや使用する材料などのアドバイスをくれるでしょう。
礼儀や丁寧なコミュニケーションを忘れずに
コミュニケーションが大切なことを頭の中においておきましょう。会話などのコミュニケーションをとることが苦手な場合でも、真剣に伝えようとする姿勢や気持ちのよい挨拶、差し入れなどのちょっとした心遣いだけでも、気持ちは職人さんに伝わります。 日頃からコミュニケーションが取れていれば、お互いの思い違いをなくしたり、もし変更があった場合にも相談もしやすくなります。そして結果的に、完成した家の満足度にも繋がるのです。 信頼できる工務店で、理想の家づくりを実現させましょう。
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