iemiru コラム vol.305
コンサバトリーを知っていますか?自宅への取り付けが増えている注目設備とは
コンサバトリーってどんな設備のこと?
最近、人気を集めている「コンサバトリー」という設備をご存知でしょうか? 大まかに説明すると、壁面や屋根がガラス張りになった、多目的に使えるスペースのことを指しています。現在ではコンサバトリーのタイプも幅広く、屋内と屋外の中間といったイメージで両方の良いとこ取りができるおしゃれな設備として注目度が高まっています。本記事では、便利なコンサバトリーの歴史や活用方法、注意したいポイントなどをご紹介します!
もともとは「ガラス張りの温室」の意味
コンサバトリーの起源は18世紀頃にまでさかのぼり、イギリスの貴族が南ヨーロッパで手に入れた果物をあたたかい場所で保管するために生まれたスペースでした。その後、果物の保管だけでなく植物を育てる温室の役割も果たすようになり、さらに進化を続け、日常のさまざまな場面で活用されるようになりました。もともとコンサバトリーという名前は単語「conserve(保存する・保護する)」に由来しており、本来の役割である「果物を保存する場所」の意味から名づけられたもの。また、コンサバトリーをオランジェリーと呼ぶ場合もありますが、そちらは柑橘類「orange」という単語に基づいた名称です。今では、植物を置く場所という役割以外にも、室内の延長として日常的に幅広い使われ方をするようになっています。
現在では庭と室内の中間部分を指すように
伝統的な英国式のコンサバトリーといえば、視界が広く風景を楽しみやすい「ジョージアンスタイル」、本場・イギリスにおいて最もポピュラーで強度の高い「ビクトリアンスタイル」、四角形でスペースが活用しやすい「エドワーディアンスタイル」などのタイプがあります。それぞれ、発祥の地であるイギリスの王朝時代から名づけられています。 しかし現在では、ガラスを隔てた庭と室内との中間部分、半分野外で半分屋内のように感じられるスペースを広く指す言葉として用いられることも多くなりました。コンサバトリーと同じような役割を持つスペースとして挙げられるのが、サンルームやガーデンルーム。一般に、コンサバトリーはガーデンルームの一種として捉えられています。ガーデンルームは名前のとおり「庭にある部屋」という意味を持ち、居住空間の一部として幅広い用途で使われています。それに対し、サンルームは太陽の光を多くとり込むことがメインの目的なので、ベランダなどに設置されるケースも。このように、構造やデザインの違いによってさまざまな呼び方をされていますが、それぞれの定義の境界線は曖昧になってきているようです。
さまざまなコンサバトリーの活用方法
コンサバトリーは古くからイギリスで日常を彩るスペースとして愛されてきました。今では遠く離れた日本でも、ライフスタイルに合わせて自由な使われ方をしています。快適で自分らしい暮らしを実現するコンサバトリー。その活用方法をいくつかご紹介します。
ガーデニング用のスペースとして
古くから植物用の温室として利用されてきたコンサバトリー。日本でももちろん、寒さに弱い植物の越冬用スペースとして重宝されています。中にはガーデニング用品の倉庫としても使う人も。お気に入りの植物をたくさん並べてみれば、ぐっと日々の暮らしが豊かになりそうですね。
リビングの拡張に
リビングの延長としてコンサバトリーを設置すると、ガラスから差し込む陽の光で明るく広がりを感じられる開放的な空間に。暑さや寒さが厳しい日にも、ガラス張りのおかげで屋内にいながらにして自然を近くに感じられる心地よさを味わうことができます。
洗濯物を干すスペースとして
コンサバトリーの実用的な使い方といえば、なんといっても洗濯物干し用のスペースです。ガラス面から陽の光をとり込むことができ、なおかつ雨を気にする必要もないため、天候を気にすることなくいつでも洗濯物を干すことが可能です。
様々な目的で活用できる便利なコンサバトリー!
ガーデニングにカフェ、趣味の空間など、コンサバトリーの活用法は人それぞれ。他にも、バーベキューセットを置いてみんなの集まる場所にしたり、ハンモックをつるして思い切りくつろぐ憩いのスペースにしたり、子どもの遊び場や自分だけのオフィスにしたり…コンサバトリーの使い方はまさに無限大!好みやライフスタイルに合わせて思い切り楽しめる最高のスペースです。
コンサバトリーの問題点
知れば知るほどに魅力的なコンサバトリー。ですが、その構造・性質上避けづらい問題点も…。設置前に知っておきたいコンサバトリーに生じる可能性のあるトラブルと、その対処法をご紹介します!
熱気がこもりやすい
ガラス面が多い分、陽の光をたくさんとり込めるのはコンサバトリーの素晴らしいメリットのひとつ。しかし、太陽がさんさんと降り注ぐ時期にはコンサバトリー内の温度が高くなり過ぎてしまうケースも。どの季節・時間帯でもできるだけ心地よく過ごせる状態にしておくために、設置時には太陽の光や熱・角度を考慮しながら設置位置を検討する必要があります。
結露しやすい
室外と室内の温度差によって引き起こされるのが結露の問題。空気中に含まれる湿気が冷やされることで気体である湿気が液体の水滴に変わる現象を結露と呼びます。ガラスやサッシ部分に結露が発生しやすいのは、室内と外気の温度の境目にさらされているため。結露の水が付着することで、窓際の床や枠が劣化したり、カーテンや絨毯が濡れてカビが発生したりと、建物や人に悪影響を及ぼす場合があります。
快適にコンサバトリーを活用するためのポイント
上記のようなトラブルを解消するために、さまざまな解決策が用意されています。コンサバトリーを設置する際には、土地の気候や方角も含め施工業者に相談しながら適切な対策を検討しましょう。トラブルの発生を防ぎ、コンサバトリーをより快適に利用するためのポイントをいくつかご紹介します。
適切な換気機能を取り入れる
コンサバトリー内を快適な状態に保つため、非常に重要なキーワードが「換気」です。 結露は空気の流れ(動き)に触れることで防げる場合があります。また、湿気を含む室内の空気を室外の空気と循環させることで、室内の湿度上昇を防止して結露を抑えることが可能です。窓を開けての適度な換気はもちろん、通気口や通気窓を設置する、送風機や換気扇、シーリングファンや専用の換気システム等で風の流れを作るなど、窓回りの空気を循環させるための設備も結露対策に有効です。
空調設備を取り付ける
外と中との中間という特別な環境が魅力のコンサバトリー。だからこそ、自然の恩恵を身近に感じやすいというメリットと同時に、夏の暑さ・冬の寒さの影響を受けやすいというデメリットもあります。快適な生活を維持できるよう、コンサバトリー用に気温を調整するための空調設備や床暖房を取り付けるのもひとつの方法です。
日よけを活用する
もとはといえば、果物や植物を守るという目的で気温をあたたかく保つために使用されていたコンサバトリー。この温室効果があるからこそ、日差しの強い日にはコンサバトリー内の気温が上がり過ぎる場合があります。日差し対策として効果的なのが、ルーフカーテンやブラインドといった日よけの設置。屋根面や側面に設置すれば、季節や時間帯によってとり入れる日差しの量を調整することができるため、室内を快適な状態に保つことが可能です。
ガラス・枠の性能を考える
自然をより近くに感じられ、解放感あふれるガラス張りですが、通常の壁よりも外気の影響を受けやすいというデメリットが。カビを引き起こす結露や、室内が暑過ぎる・寒過ぎるという問題を防ぐため、カギとなるのは断熱性です。トラブルの原因となる室内外の気温差を緩和するためには、断熱性の高い材質のガラスを取り入れたり、二重構造で寒さをシャットアウトしてくれるペアガラスにしたりなど、機能性の高いガラスを採用するという対応策があります。コンサバトリーの骨子である枠(フレーム部分)に関しても、アルミより熱伝導率の低い樹脂タイプ等を選ぶことで断熱効果アップを期待できます。他にも、日本ならではの気候に合わせた高性能な素材・建材も多数用意されていますので、コンサバトリーの設置を得意とする施工会社に相談してみると良いでしょう。
木を植える
設置時、太陽との位置関係を考慮しながらコンサバトリーのそばに枝が広がっていくような落葉樹を植えるのも良いアイデアです。緑が目に涼しいのはもちろん、木々の生み出す木陰が夏の強い日差しをやわらげてくれるはず。自然の恵みを利用した地球にやさしい対策として、おすすめです。
コンサバトリーでワンランク上のリラックス空間を手に入れよう!
気温・室温への対策は必須事項
コンサバトリーは、屋内でもない、庭でもない特別な空間として人気が高まっています。しかし、快適な状態を保つためには、外気や室温、日光等の影響から生まれる問題点への対策は必須です。素材・建材面やオプション設備等によるさまざまな対応策が用意されていますので、より快適で楽しいコンサバトリーライフを送るためにも、設置時には施工会社によく相談し、検討を重ねましょう。
新築でもリフォームでも活用しやすい!
日常を優雅にしてくれるコンサバトリーですが、新築時はもちろん、室内の延長といったイメージでリフォームでも設置しやすいのが魅力です。ガーデニングにカフェスペース、趣味の空間などオリジナルの活用法を模索しながら、家に帰るのが楽しくなるようなワンランク上の日常を手に入れてみてはいかがでしょうか。
時代を越えて愛され続けるコンサバトリー
ガーデニング大国のイギリスで長い間親しまれてきたコンサバトリー。素材や工法はときの流れとともに変化しつつも、「季節や天候に関わらずいつも花や木を身近に感じられる」という点によろこびを感じるのはいつの時代も同じようです。そして、そんなコンサバトリーの魅力は多くの国で共感を呼び、所有する人それぞれの個性を反映する空間としてますます発展を遂げていくでしょう。
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